好意/豊島与志雄 続編 吉岡は河野との対語に気疲れがしたせいか、うとうとと眠っていた。それで、敏子さんが八百円のことを彼へ話したのは、晩の六時半頃だった。 「私少しも知らなかったものですから、あなたにお聞きしてからと思いましたけれど、河野さんがあんまり仰言るので、何だかお気の毒のような気がしまして、一時お預りしておきましたが、どう致しましょう。受取っても宜し… トラックバック:0気持玉(0) コメント:0 2013年06月24日 続きを読むread more
好意/豊島与志雄 「それも吉岡君の好意からだったのでしょう。私に気まずい思いをさせないようにと、あなたにまでも隠しておいてくれたのだと思います。」 そして彼は、吉岡から八百円借りた顛末を話した。――それは四年前の年の暮、河野が最も窮迫した生活をしてる時のことだった。友人の紹介でうっかり借りた高利の金がつもって千円余りになっているのから、厳しい督促が来… トラックバック:0気持玉(0) コメント:0 2013年06月24日 続きを読むread more